セントルイスはアメリカ中西部にあるミズーリ州の東部、ミシシッピ川とミズーリ川が交わる地点に位置し、人口は大セントルイス地域に約290万人。アメリカの一般的な中規模都市です。セントルイスはその昔、西部開拓の基点となる都市でした。富、土地、自由などを求めて西を目指す人のゲートシティとして多くの人がセントルイスを通って西へ向かったそうです。そんな西部開拓の記念として建てられた Gateway Ach は、セントルイスのシンボルです。アメリカの Mother Road と言われるRoute66も学校のすぐ近くを通っています。
セントルイスでは1904年にアメリカで初めての国際博覧会(万博)とオリンピックが開催。ワシントン大学の象徴とも言えるBrookings Hallは国際博覧会の事務局が置かれた建物で、同じ Danforth キャンパスにあるFrancis Fieldでオリンピック競技が行われました。当時の万博会場は Forest Park という公園に名を変え、市民の憩いの場になっています。規模はNYセントラルパークの1.5倍で、園内に3つのゴルフ場、動物園、プラネタリウム、博物館などがあります。
米国の他の都市と比べても圧倒的に家賃が安いのもセントルイスの特徴です。私の場合は学校から車で10分程度のところにあるClaytonという軽井沢のような住宅街に住んでいますが、2 bed roomで$750という破格の安さと住環境の良さに大満足です。またセントルイスは緑に囲まれているため、お子様連れや家族同伴で留学される方にはお勧めです。
セントルイスには連邦準備銀行が置かれており、アメリカの経済に果たしてきた役割が大きいことが伺えます。セントルイスにある大企業の例としては、アメリカで過半数のシェアを握るビール会社、バドワイザーで有名なAnheuser-Busch、電機大手Emerson、化学大手Monsanto、レンタカー事業のEnterprise Rent-A-Car などがあります。また、大企業に買収された経緯より、ペット食品大手のNestle Purina (旧 Ralston Purina)、Boeing (旧 McDonnell Douglas) など大企業の拠点があります。
セントルイスは内陸に位置し、ミシシッピ川ーとミズーリ川に挟まれているため、アメリカの他の都市と比べると湿度が高いものの、日本よりは低いため過ごしやすいです。冬は-10℃になることもありますが、その他の季節は東京と同程度で、雪は年間数回程度しか積もりません。ただ、内陸特有の気候のため、前日10℃だったかと思えば翌日30℃になるなど、寒暖の差はかなりあります。
残念ながら日本からセントルイスへの直行便はないので、主にシカゴやアトランタ経由になります。一般的に利用者の多いシカゴからの所用時間は約1時間。セントルイスから国内各都市への直行便数は豊富です。なお、ワシントン大学から空港までは車や地下鉄(Metro Link)で約20分と、非常に便利です。
見所としては、先ほどふれたGateway Arch、Forest Park、全米7指に入る動物園。また、自動車で約2時間の郊外には、ハンニバルという、小説「トム・ソーヤの冒険」で有名な作家・マーク・トウェインの故郷があります。セントルイスを本拠地とするプロスポーツには、野球のカージナルス(2011 World Champion!)、アイスホッケーのブルースがあります。また、1845年設立のセントルイス交響楽団は全米でtop 5 に入るといわれ、グラミー賞を2回受賞。セントルイス出身の有名人は、作曲家のScott Joplin、詩人のEugene Field、テニスのJimmy Connors、歌手のTina Turner、力士の(旧)戦闘竜などがいます。
このようにセントルイスは、古き良き伝統を持つ小さな町の雰囲気から大都市の快適さまで兼ね備えた町で、物価の安さとも相俟って、全米の中でも最も住みやすい都市の一つに選ばれたこともあります。
日常生活を送るうえで、これまで家族を含め治安面で不安を感じたことはありません。これは日頃から危険な地域に行かないことを家族全員心がけているからでしょう。多くのアメリカの都市同様、治安が悪いダウンタウン(セントルイスでは北部や東部)などの地域をさければ問題ありません。また、ある程度住み慣れてくると、町の雰囲気で危険な地域を察することができるようになります。
一方、日本人在学生の殆どが住む Clayton や Brentwood など治安の良い地域は、女性が深夜に一人でジョギングするなど、日常生活に全く支障ありません。買い物、病院、子供の学校の送り迎えも安心してできます。