卒業生から見たOlin①
1. Olinでの2年間を振り返ってどうでしたか?
大学卒業後、8年間同じ会社で働いていたことで、気づかないうちに視野が狭くなっていたことに気づきました。そのことで社外に対する関心や貪欲に学習、成長していこうという意識が低下していたと感じます。Olinで多様な価値観や背景を持った仲間と触れ合う中で、自分の価値観が相対化され、柔軟になったと思います。この部分がOlinに2年間いたことで得た一番大きな収穫でした。
2. Olinの特徴は何だと思いますか?
少人数、高い留学生比率が特徴であり、私にとって非常にありがたい部分でした。クラスの雰囲気が競争的でなく、アメリカの価値観だけでないことで、全員が非常に協力的で他者を思いやる気持ちを持っていました。
3. セントルイスでの生活はどうでしたか?
日本やアメリカの他の大都市と比較すると、刺激的ではないですが、自然も多くて、物価も安く、生活しやすい地域だったと感じました。子供もセントルイスで出産しましたが、出産前も出産後も全く不便は感じませんでした。
4. Olinの受験生に向けて一言お願いします。
どこの学校がいいか比較するのは難しいですし、その人に一番あった学校を入学前に判断するのは不可能です。後悔しないためにも学校の検討は満足のいくまでするべきですが、入った後に何をするかの方がずっと大切だと思います。受験生のみなさんが満足のいく学校生活を送れることを祈っています。
卒業生から見たOlin②
1. Olinでの2年間を振り返ってどうでしたか?
MBAのコミュニティはビジネスの縮図のような所があって、周りから優秀だと思われれば、グループを組むときに引く手が数多になるし、人気のあるプロジェクトにAssignされる確率も高くなる。Olinはスモールスクールであるため、そういった傾向が他校よりも強いと思う。したがって、会社の肩書がなくなる中で、どのように一個人として認められるか、コミュニティに貢献できるかを考え続けることが重要であると感じた。自分の場合、派遣元の会社に戻る意思は固かったので、帰国後に生かせる専門知識を拡充し、業務経験をもとに授業やグループワークで貢献することが、自分の留学目的に合致し、コミュニティにも貢献できると判断した。自分のバックグランドと、会社で必要とされる知識の溝を埋めるため、ファイナンスのプラットフォーム(専攻)を選択し、企業の財務部に必要とされる科目を中心に、定性的な科目やプロジェクト型授業も含めて、幅広く受講した。
その過程で、MBAとは凡人が失敗を減らすための訓練であると感じた。2年間のプログラムを終えて思うのは、実際に経営者としてビジネスを行うには、より多くの経験が必要だということであり、MBAを取得したからと言ってビジネスでの成功を保証するものではないと感じた。有名な起業家を見ても、別にMBAを取得している人が多いわけではない。これは、ケースを通じて学ぶ過去の成功例をそのまま適応できる未来の状況は少ないためだ。しかし、失敗例を通じて、今後の反面教師にできる多くの示唆も得たと思う。過去の経営者と同じ失敗を繰り返さないこと、即ち失敗の確率を減らすことができれば、間接的に成功する確率を上げることができる。卒業後に向き合う重要なビジネスの局面に際して、この2年間で得た教訓を逐一振り返る時間はないと思うが、ケースの度に真剣に考え、導き出した自分なりの考えというのは、血肉となって今後の自分を支えていくと思う。
2. Olinの特徴は何だと思いますか?
大きく分けて、①実践的授業と、②国際プログラムが充実していると思われる。
Olinはセントルイスにおいて、圧倒的な存在感があるため、地元の有力企業から大切にされている。例えばCEL (Center for Experiential Learning)という実践的なコンサルプロジェクトでは、毎学期10ほどの企業がクライアントとなり、MBAや専門修士の学生が5人程度のチームを組んで約4か月間、会議や研究を重ね、成果をプレゼンする。企業側がコンサル料を支払う形であるにも関わらず、Olinと継続して契約する先が多くあり、クライアントからの評価が高い。その秘訣として、長期間同じクライアントに関わるアドバイザー(多くの場合OlinのOBOGや教授)が異なる学期のチームの橋渡しを行い、各プロジェクトが断絶せず、発展していけるように工夫されていることが挙げられる。MBAのコンサルプロジェクトは、時に学生の自己満に終わってしまう危険性があるが、実際に地元企業から望まれ、その事業計画にインパクトを残すことができるのは、他校のプログラムと比べても優れた点だと思う。
Olinでは、セントルイス以外の都市での学びの機会を豊富に提供している。GMS(Global Management Study)という選択制スタディツアー(日本人学生の企画によるジャパントリップ含む)や、CELで他国の企業をコンサルするプロジェクトを考慮に入れると、クラスメートの半分以上が少なくとも1回は国外で行われるプロジェクトに参加している。また、夏休みには、フランスやドイツ、韓国での交換留学の選択肢が用意されているほか、今年から入学する学生には、バルセロナや上海での研修がプログラムの開始となり、より一層グローバルな環境で学ぶことが可能となる。また、昨年から2年生はワシントンDCにて、ビジネスと政府との関係を学ぶ4日間の授業が必修となった。様々な国際プログラムを通して、現地に行って交流する事で、アメリカ以外の文化圏の人々の仕事の進め方や、距離の縮め方を学ぶことが出来た。例えばバルセロナでは、ESADEのスタッフとグループワークを行なったが、アメリカ人以上に直接的な表現が多く、最初は緊張感があった。しかし、時間が経つにつれて、彼らは議論と対人関係をしっかり分けていて、議論を楽しむ傾向にある事がわかった。以後は、彼らのスタンスを理解して、円滑に仕事を進める事が出来た。こうした体験は、現地に行ったからこそ出来たものだと考える。セントルイスはNYやLAなどの都市と比べて小規模なので、機会が色々と限られてしまうのではないかと心配する受験生もいるかもしれない。しかし、春休みや夏休みを利用して、単位付きで海外や他の地域で学ぶことができるのは、Olinの特長といえる。
3. セントルイスでの生活はどうでしたか?
セントルイスは、ダウンタウンから郊外の空港までコンパクトにまとまっているため、学校の近くに居を構えた私は、ほとんどの場所に車で20分以内に移動することができた。大きな渋滞もなく、隙間時間を見つけて友人宅や娯楽施設などに出かけることは容易であった。学期中は勉強で忙しいことが多かったが、アメリカ生活も満喫することができたのは、セントルイスの環境に起因する部分が大きいと考える。また、配偶者向けのサポート体制も充実しており(詳細は当ホームページの「配偶者」欄参照)、自分が学校に行っている間、妻もボランティアや、キャリアアップのための語学学習に時間を割くことができ、二人で充実した時間を過ごすことができた。
ちなみに、セントルイスにいる日本人は少なく、学生生活や日常生活で日本人以外の沢山の友人を作ることができた。もっとも、居住している日本人は、少数ながら絆が強く、生活面でお互いに助け合うことが可能であった。全米最大規模を誇る日本祭がボタニカルガーデンで行われ、各種伝統文化の継承を図っているなど、その存在感は決して小さくない。私も地元の剣道クラブに所属してデモンストレーションを行ったほか、妻も盆踊りに参加し、良い思い出となった。
4. Olinの受験生に向けて一言お願いします。
留学中は、自分の考えをすぐに言語化できなかったり、伝えても相手が動かなかったりと、ストレスを感じることは多いと思う。でも2年間を通してみれば、自分の苦労以上に周りに助けられて、感謝の気持ちを持つことができている。また、留学期間は、リスクを恐れず自分の殻を破るチャンスでもあると思う。日本では空気を読んでしまうような時でも、自分の思い切って自分の考えや主張をぶつけてみたら、歓迎された経験も沢山あった。こうした地に足の着いた成功体験が、今後の人生において生かせると考えている。
Olinは、クラスメートの人数は少ないのに、全部は参加しきれないほどのイベントが学生主体で毎日のように企画され、各人のバイタリティの高さにはいつも驚かされた。卒業生の人数が少ないため、近年ランキングのボラティリティが高くなっているが、学生や教授の質には心配ないと思う。受験生の方には、安心して門をたたいてもらえたら幸いである。